後に引けなくなったとき、自分の本音に気がついた惨めな30代女性『激しく煌めく短い命』
「あの子たち、レズなんやて」
帯に並ぶその一文を見て、思わず立ち止まった。
600ページを超える長編小説『激しく煌めく短い命』。
わたしが「日本で一番好きな小説家は誰ですか」と聞かれたら、真っ先に名前を挙げる作家の新作だ。
ずっと楽しみにしていた。
『文學界』での連載も追いかけていたし、この作品が本になる日を待っていた。
激昂短命。
そんな火花が散るような四字熟語が好きだった。
髪を振り乱しながら必死で勉強し、第一志望の難関高校に合格した少女が、やがて枕営業をする女性社員になる。
そんな人物を描いてしまうところも好きだった。
・・・・
きれいごとだけでは終わらない。
人生の格好悪さや執着や欲望まで含めて描こうとするところに惹かれてきた。
わたしは京都が好きです。
仕事でも訪れたし、旅行でも何度も足を運んだ。
けれど「京都に暮らす」ということがどういうことなのかは、きっとまだ分かっていない。
この小説を読みながら、そんなことを思った。
物語の舞台は現代より少し前。
おそらく二十年から四十年ほど前の時間軸だろう。
京都も。
日本も。
今よりずっと古い価値観の中で動いている。
社会の空気も違う。
人と人との距離感も違う。
そして何より、世界そのものがずっと小さい。
いまの感覚で考えると忘れてしまいそうになるけれど、当時はインターネットも今ほど身近ではなかったでしょう。
誰かと出会う範囲も。
情報を得る範囲も。
人生の選択肢そのものも。
ずっと狭かった。
社会の箱が3回りは宿所されていて、汗や嫌悪の匂いがしました。
わたしはこの小説を読みながら、社会という箱の大きさについて考えていた。
今の私たちは、昔より自由になったのだろうか。
確かに選択肢は増えた。
好きな人を好きだと言いやすくなった部分もある。
住む場所も働き方も、以前よりは選べるようになった。
けれど、人は本当に自由になったのだろうか。
それとも、別の形の不自由さを抱えるようになっただけなのだろうか。
そんなことを考えながら、わたしはページをめくり続けています。
まだ読み終えてはいない。
けれど、すでに胸の奥を掴まれています。
そしてこの作家の小説を読むたびに思うこと。
人間という生き物は、どうしてこんなにも面倒で、どうしてこんなにも愛おしいのだろうと。
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・・・・
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