住職が語ったバレンタインの話『1日5分でこころを軽くすることば』
「海みたいな人になれたら。」
人生には、読むだけで肩の力が抜ける本があります。
「頑張ろう。」
「もっと成長しよう。」
そんな言葉を投げかける自己啓発書とは少し違います。
読み終える頃には、
「まあ、そんなに力まなくてもいいか。」
そう思わせてくれる本です。
今回ご紹介する一冊は、まさにそんな本でした。
一日一ページ。
ほんの一分ほどで読める短い文章のなかに、
季節の行事や自然、
仏教の考え方、
そして少し笑える冗談が詰め込まれています。
読み進めながら何度も思いました。
「やっぱり住職さんって、知識の引き出しが本当に広い。」
でも、それ以上に印象に残ったのは、
その知識を決してひけらかさないことでした。
知識は、人を驚かせるためではなく、笑顔にするためにある
本書には、
祝日の由来、
季節の草花、
歴史、
仏教、
日本文化。
実に幅広い話題が登場します。
けれど、それらは
「こんなことも知っています。」
という見せ方ではありません。
あくまで、
読者の肩の力を抜くため。
少しだけ視野を広げるため。
そんな優しさのある知識です。
だから読んでいて疲れません。
一ページ読み終えるたび、
ふっと息が抜ける。
そんな感覚があります。
バレンタインのページで思わず笑ってしまった
本書の中でも、とくに好きだったのが2月14日のページです。
世の中では、
「今年はチョコをもらえた。」
「もらえなかった。」
そんな話題で盛り上がる日。
でも住職さんは、
まったく違う角度から話を始めます。
【ここから先は登録者限定】
住職さんが語る「バレンタインデー」の冗談が、あまりにも平和で思わず笑ってしまいました。そこから自然につながる「欲張らない生き方」の考え方も、とても印象的でした。
【閲覧制限】
住職さんは、
「本当は世の中のチョコレートは全部自分に向かっている。」
と言います。
でも、
そんなにたくさんあっても食べきれない。
だから、
みんなに分けてあげているだけ。
夜の街で働く女性たちも、
本当は自分へ渡したいと思っているけれど、
困るだろうから他の人へ渡しているだけ。
そんな冗談を真顔で語るのです。
もちろん本気ではありません。
でも、このユーモアの奥には、
「欲しい、惜しいと思うから苦しくなる。」
という仏教の考え方が静かに流れています。
説教ではなく、
笑い話として伝える。
だからこそ、
自然と心に残るのでしょう。
海は、文句を言わない
もう一つ印象に残ったのが、
海の日のページでした。
法律では、
海の日は
「海の恩恵に感謝し、日本の繁栄を願う日」
と定められています。
けれど著者なら、
別の意味をつけると言います。
「海の偉大さを見習う日」
海には、
きれいな川も、
濁った川も、
同じように流れ込んできます。
それでも海は、
「こんな汚れた水は嫌だ。」
とは言いません。
何も言わず受け入れる。
その大きさ。
その懐の深さ。
もし人間も、
少しだけ海のように生きられたなら。
許せない出来事も、
腹が立つ言葉も、
少し違って見えるのかもしれません。
一分で、心を整える習慣
この本は、
一気読みする本ではありません。
朝、
出かける前に一ページ。
夜、
眠る前に一ページ。
そんな読み方がいちばん似合います。
忙しい毎日でも、
ほんの一分だけ立ち止まる。
自然を思い出し、
季節を感じ、
少しだけ笑って、
また今日を始める。
そんな小さな習慣を作ってくれる一冊でした。
知識よりも、心の余白を増やしてくれる本
本書を読んでいて感じたのは、
住職という仕事は、
知識を伝える仕事ではなく、
人の心に余白を作る仕事なのかもしれないということでした。
何かを学ぶためではなく、
何かを手放すために読む。
そんな本です。
もし最近、
毎日を少し急ぎすぎていると感じるなら。
あるいは、
心の中が予定や仕事でいっぱいになっているなら。
この本を机の上に置いて、
その日のページだけ読んでみてください。
一分後には、
ほんの少しだけ、
世界が穏やかに見えているかもしれません。
すでに登録済みの方は こちら